既存システム×AIの難題を乗り越え、開発速度3倍へ。ITフリーランス活用がもたらした内製化の突破口

現実世界とリンクしたインフラ点検ゲームアプリなどを展開するエンターテインメント企業、株式会社 Digital Entertainment Asset(以下、株式会社DEA)。同社は外注依存からの脱却を目指し、既存システムの引き継ぎとAI駆動開発による完全内製化へ舵を切りました。この難題に対し、ギークスのITフリーランスを活用することで、開発速度の3倍向上と年間一億円規模のコスト削減という圧倒的な成果を実現しています。今回は株式会社Digital Entertainment Asset CTOの並河大地様とフリーランスエンジニアのK.S様を交え、プロジェクト成功の裏側と組織変革について伺いました。
実世界とリンクしたエンタメ事業と、AIチーム立ち上げのミッション

まずは、株式会社DEAの事業内容と、並河様の現在のミッションやチーム内での役割について教えていただけますでしょうか。
並河様: 私はCTOとして、会社全体の技術的な統括を行っています。弊社には複数のプロダクトがありますが、現在の一番大きなミッションは、各プロジェクトの開発を一括で引き受けるような「内製開発チーム」を作ることです。最新のAI技術を活用して開発体制そのものを作り直し、これまで外部に依存していた開発の内製化を強力に進めることが、私の最重点ポイントとなっています。
現在、御社における大きな戦略として「AIを活用した開発チームの立ち上げ」を進められていると伺いました。このプロジェクトが発足したきっかけや、事業全体においてどれほど重要な位置づけにあるのか教えてください。
並河様: 弊社はもともとベンチャー企業であり、これまでは新規事業を早期に立ち上げては撤退するというサイクルを何度も繰り返してきました。社長がビジョン重視ということもあり、「作りたいものがあるならまずはやってみよう」というスピード感で動くため、開発はすべて別々のゲーム会社などへの外注(ベンダー)に完全に依存している状態でした。 しかし、現在の主力事業である「ピクトレ」というプロダクトは、インフラ点検とゲームを掛け合わせたアプリで、今後長くやっていけるという手応えがありました。このタイミングで腰を据えてしっかり開発しようと考えたとき、外注依存によるコスト高やスピード感の欠如、そして何より「技術的なノウハウが社内に一切残らない」という深刻な課題が経営陣からも問題視されるようになりました。ちょうど上場を目指すタイミングでもあり、開発体制を戦略的に転換し、内製化を実現することが急務となったのがきっかけです。
既存システム×AIという難題。内製化へ舵を切った背景と組織課題

御社は「既存のシステムを引き継いだ上でAI開発を行う」という非常に挑戦的な意思決定をされています。このアプローチを取られた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
並河様: AIを使った開発というと、世の中の事例の多くはゼロからの新規開発(0→1)です。しかし、弊社にはすでに稼働中のプロダクトがあり、「既存のシステムを引き継ぐ」という絶対条件がありました。既存システム×AIという事例はほとんどなく、難易度が高いことは承知していましたが、ちょうど昨年の秋頃にAIエージェントの性能が急速に向上しているのを目の当たりにし、これならいけると考えたのです。 既存のコードを読み込み、理解してまとめるという、人間にとって非常に時間がかかる引き継ぎ作業をAIに任せられれば、大幅な工数カットが可能です。これにより、内製化のコストを下げつつ、AI駆動開発という新しい体制をスピーディーに構築できると確信しました。
一般的にAIエンジニアは「ゼロからのモダンな環境」を好む傾向があるため、「既存システム×AI」という要件で正社員を採用するのは非常に難易度が高いと推測します。採用市場において、どのような壁を感じていらっしゃいましたか?
並河様: おっしゃる通りです。複数の既存プロダクトを引き継ぎながら新体制を作るとなると、正社員の採用では1〜2年かかってしまい、到底事業のスピード感に間に合いません。そのため、最初から正社員採用にはこだわらず、即戦力となるITフリーランスの方々を巻き込んでいく構想を持っていました。 また、AI駆動開発という新しい技術に挑戦できる環境は、優秀なエンジニアのキャリアにとって非常に有意義な経験になるはずだと考えました。フリーランス市場であれば、「AI駆動開発の立ち上げ」という魅力的なキーワードで、自律的に動ける優秀な人材を集めやすいと判断したのです。私自身、標準的な内製開発のプロセス構築に経験が不足しており不安があったため、経験豊富なフリーランスの方の知見をお借りしたいという思いもありました。
採用から契約中まで一貫したサポートを実現するギークスの強み

エンジニアリング体制を強化するにあたり、数あるサービスの中からギークスにご相談いただいた理由を教えてください。
並河様: 過去に採用したエンジニアの中で、特に優秀だと感じた方々には、ギークス経由の方が多かったというのが一番の理由です。 今回、私は「言語不問」「フロントエンドもバックエンドもインフラも垣根なく全部やる」という、非常にふわっとした要件を出してしまいました。AI駆動開発なら全領域を担当できるはずだという考えからですが、エージェント側からするとかなり困るオーダーだったと思います。しかし、ギークスの営業担当はそれを上手く汲み取り、即日でマッチした候補者を提案してくれました。
「AIチームの立ち上げ」や「既存システムとの連携」といった高度な要件に対し、エージェント側が正しく理解していないとミスマッチが起こりやすいと思います。弊社営業は、御社の技術要件やカルチャーをどのように汲み取り、提案に活かしていたと感じられましたか?
並河様: 営業担当の提案の「幅の広さ」にとても助けられました。私は以前アイドルグループの運営・サポートをしていた経験があるのですが、オーディションで才能を見つけるにはとにかく「量」が必要です。他のエージェントは「狙いすました1人」をピンポイントで提案してくることが多く、少しでもカルチャーがずれるとマッチしません。しかし、ギークスの営業担当は要件の根底にある思いを理解した上で、範囲を広く多数の候補者を提案してくれるので、自社のカルチャーに本当に合う人をこちらで選びやすかったんです。 また、過去にこちらから厳しい意見を伝えた際も、ギークスさんは非常に真摯に受け止め、改善に向けて迅速に対応してくれました。困難な時も逃げずに付き合ってくれる、本当に信頼できるパートナーだと感じています。
当時並河様からこの難易度の高いオーダーをいただいたとき、どういった軸で人材のスクリーニングや魅力づけを行ったんですか?
営業担当: 並河様とのお打ち合わせの中で、技術スキルはもちろんですが、それ以上に「人柄」や「カルチャーマッチ」、「AIに対する意欲」を非常に重視されていることを汲み取りました。当時はまだAI開発の案件が少なく、「これからAIを活用した開発にフルコミットしていきたい」と考える意欲的なエンジニアが増え始めている時期でした。 そこで、「AI駆動開発」「何もない状態から自分たちで新チームを立ち上げる」というキーワードでエンジニアの方々へ魅力をお伝えしてまいりました。結果的に、そうした挑戦を求めるエンジニアの方々から「我こそは」と多くのエントリーをいただくことができ、精度の高いマッチングを実現できたと考えています。
開発速度3倍、メンテナンスは81秒へ。開発現場のリアルとエンジニアの貢献

実際にギークスから参画したエンジニアの方は、チーム内でどのような業務を担当されていますか?
並河様: 現在、私を含めた8名ほどのチームで、ギークス経由のエンジニアが主力として活躍しています。先ほどお話しした通り、フロント、バック、インフラといった分担は一切なく、全員が全領域を担当しています。既存システムの移管から新規機能の開発、運用整備まで、まさにフルスタックで業務を推進してくれています。
AIプロジェクトは不確実性が高く、PoCの段階で終わってしまう企業も多い中で、御社は「数千万円規模のコスト削減」という実運用レベルの凄まじい成果を出されています。フリーランスエンジニアのどのような「技術的工夫」や「自走力」がこの突破口になったのでしょうか?
並河様: 成果としては本当に目覚ましいものがあります。ある複雑な稼働中のシステムの移管作業では、システムを止めることなくバックエンドをほぼ作り直す必要があったのですが、1人のエンジニアがたった1〜2ヶ月でやり遂げました。通常ではあり得ないスピードです。 また、今日同席しているK.Sさんは、運用整備の大幅な自動化を担当してくれました。今まで2時間もかかっていたメンテナンス作業が、K.Sさんの作ったツールのおかげで、なんと「81秒」で終わるようになったんです。これには私も本当に驚きました。 他にも、ゼロからの機能立ち上げにおいて仕様を自らPMにヒアリングして形にしたり、AI駆動開発における新しいアジャイルのプロセスを自ら構築してくれたりと、単なる作業者ではなく、皆がプロフェッショナルとして自律的に動き、大きな成果を出してくれています。結果として、開発速度は従来の約3倍になり、劇的なコスト削減につながっています。
現場で一緒に働かれてみて、ギークスのエンジニアのスキルやマインドセットについてどのような印象をお持ちですか?
並河様: 皆さん非常に素直で前向きです。『新しいAIツールを使ってほしい』とお願いしても「自分の専門外だから」と壁を作る人がおらず、「とりあえずやってみます」と柔軟に取り組んでくれます。誰がやるか決まっていないタスクでも、「私やります」と自発的に手を挙げてくれるので、マネジメント側としては非常に助かっています。強いこだわりで壁を作る人がおらず、自分ごととして責任を持って取り組んでくれる姿勢が素晴らしいですね。
K.S様にもお伺いします。数ある案件の中でDEAを選んだ理由や、実際に働いてみた感想を教えてください。
K.S様: 条件面がマッチしていたことと、やはり「AI開発」に携われる点が非常に魅力的でした。これからの時代、AIを使った開発は絶対に必要になると感じていたので、この環境は大きなチャンスだと思いました。面談時に伺った話と入社後のギャップもほとんどなく、スムーズに業務に入ることができました。 働き方も非常に柔軟で自由度が高いです。時には働く時間や場所などを調整していただくこともありました。裁量を広く持たせて任せてもらえるので、それぞれのエンジニアが独立しつつも協力し合える、とても働きやすい環境だと感じています。
チームの心理的安全性を高めるために、並河様がマネジメントで意識されていることはありますか?
並河様: みんなが何をやっているかを、常に把握するようにしています。また、週に1回、ミーティングの余った時間を使って「何でもシェア会」という会を実施しています。ここでは業務の話ではなく、最近気になったWeb記事や、ハマっているポケモンの話、プロテインの話など、ただの雑談をしています。「こんなに忙しいのに必要なのか?」と思うこともありますが、この時間があるからこそ、お互いの人柄やキャラクターが分かり、フラットに意見を言い合える関係性が築けていると感じています。ツール導入に関しても、私がまず何でも試して、メンバーにも好きなツールを自由に使っていいと推奨しています。
AIによる全自動開発を見据えて。今後の展望とメッセージ

大きな山場を迎えつつあるとのことですが、このAI開発プロジェクトの今後の展望や、次に挑戦したい技術テーマについて教えてください。
並河様: 現在、各エンジニアが1人親方のようにAIを駆使して開発を進めていますが、人間がレビューなどに入ることでそこがボトルネックになる部分もあります。今後は「全自動開発」を目指し、AIが課題を出し、チケットを取り、開発してレビューまで行うループを回し、人間はそれを上から監督するだけの「Human on the loop」の状態に持っていきたいと考えています。 また、我々の主力事業である「ピクトレ」は、現実世界の電柱をユーザーが撮影してインフラ点検につなげるという、独自のドメイン知識と現実世界との接点を持っています。この強みとAIを掛け合わせ、開発プロセスの効率化だけでなく、サービスそのものにAIを深く組み込んで、ユーザー体験を劇的に向上させていきたいです。
ゼロからのAIチーム構築というエキサイティングな環境ですが、今後どのようなマインドやスキルを持ったエンジニアと一緒に働きたいとお考えですか?
並河様: ただ言われた仕様を実装するのではなく、「どんなものを作ったらユーザーが喜ぶか」「どういうものを作ったら自分たちが楽しいか」を自ら考えられる人と働きたいです。AIが多くの作業を代替するようになるからこそ、そうした人間的な創造性や、最後まで責任を持ってやり遂げる当事者意識がより重要になってくると考えています。素直で前向きに新しい技術を楽しめる方をお待ちしています。
最後に、この記事を読んでいるITエンジニアや、開発体制の構築に悩む他企業様に向けて、一言メッセージをお願いいたします!
並河様: 企業の方々には、「AI駆動開発による内製化は、今が最大の好機である」とお伝えしたいです。高い外注費を払い続けるよりも、優秀なフリーランスを巻き込んでチームを組成し、内製化したほうが圧倒的に良いものがスピーディーにできます。 エンジニアの方々には、DEAの環境は技術的にも非常にエキサイティングで、これからのキャリアにとって間違いなく輝かしい経験になるはずです。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一緒に面白いものを作りましょう!
あとがき
IT人材不足が社会課題として取り上げられて久しい中、事態は深刻となっており、最新のAI技術に対応できるエンジニアの採用はますます激化していくことが予想されます。 ギークスでは、豊富な支援実績を持つ担当者が、企業様の状況や要望を深くヒアリングし、業界経験やエンジニアスキル、そしてカルチャーフィットなど、様々な観点からマッチした人材をスピーディーにご提案します。株式会社DEAのように、難易度の高い組織変革や内製化推進においても、企業様のニーズに合わせた最適なサポートと伴走ができるように、今後も努めてまいります。

